衛星航法システムにおける座標系
(Coordinate Systems in Satellite Navigation System)
 地球の周りを秒速数Kmで飛び回る人工衛星を観測して位置を
求めるためには、まず人工衛星の軌道を決める必要がある。
人工衛星の位置は慣性座標系で衛星の運動方程式を積分すること
により得られる。又船舶等の位置は地球に固定された座標系で
定義されなければならない。従って、衛星航法システムでは、
数種類の座標系を用いて位置を定義し、各座標系における位置を
相互に変換しながら必要な位置を求めることになる。ここでは
衛星航法システムで使用される座標系について紹介する。
[1] Mean of J2000.0赤道面座標系
  (The Mean of J2000.0 Coordinate System)
J2000.0(力学時2000年 1月1.5日,JD2451545.0)における
平均赤道面,平均春分点の方向を基準(平均春分点の方向がx軸)
とする慣性座標系であり、衛星運動方程式を積分して衛星の軌道
を生成する座標系である.
[2] 地球固定座標系
  (Earth-Centered Rotating Coordinate System or
  Earth-centered,Earth-fixed Coordinate System)
 人工衛星等の位置を表現する場合によく利用されるのが、地球重心
を原点とし地球に固定された三次元直交座標である。この座標系が
地球固定座標系であり、地球基準座標系とも呼ばれている。
 この座標系は、次のように定義されている。
 (1)座標原点は、海洋及び大気を含む地球の質量中心である。
 (2)Z軸は、慣用国際原点の方向へとり、X軸は原点から本初
  子午線の方向へとる。更にY軸は、Z軸とX軸に対して
  右手直交系となるように設定する。
地球固定座標系
図1 地球固定座標系

☆慣用国際原点(Conventional International Origin:CIO)
 1900年から1905年までの6年間における、北極の平均位置。


[3] 測地座標系
  (Geodetic Coordinate System)
 測地座標系は各国が地図作成の基準として天体観測や三角測量等
により定義した座標系である。人工衛星を用いた最新の宇宙技術に
より定義された座標系と各国が独自に定義し地図作成のために利用
している測地座標系とを比較すると、一般的にその原点位置が数百m
ずれている。現在、各国の測地座標系は、人工衛星の観測等により
定義されたより高精度の世界測地系へ移行されつつあり、日本も
2002年 4月 1日より日本測地系から世界測地系(日本測地系2000)へ
移行した。座標は地球重心を原点とし、座標軸はZ軸を慣用国際原点
(Conventional International Origin,CIO)の方向へ、X軸をグリ二ジ
子午線と赤道の交点の方向へ、Y軸をZ軸及びX軸に直交するように
右手系で設定される。そして、地球上の三角点又は人工衛星観測局等
及び地球楕円体の長半径と扁平率によって具体的に定義されている。
測地座標系には、World Geodetic System 1984(WGS-84)や国際地球
回転観測事業地球座標系(IERS Terrestrial Reference Frame:ITRF)
等がある。測地座標系では一般に緯度,経度,高さを用いて位置が
表現される。
[4] 地表面座標系
  (Topocentric Tangent Plane Coordinate System)
 観測点において、人工衛星等の位置を方位角と距離で表現する場合、
観測点を原点とし、測地学的接平面を基準面とする座標系を利用する
と便利である。この座標系が地表面座標系であり、次のように定義さ
れている。
 (1)座標原点は、観測点である。
 (2)XY平面を地球楕円体に対する測地学的接平面とする。
 (3)Z軸は、原点を通る接平面の法線であり、上方が正。
 (4)Y軸は、接平面内で慣用国際原点の方向(北方向)へとり、
  北方向が正。
 (5)X軸は、接平面内で原点から東方向へとり、東方向が正。
地表面座標系
図2 地表面座標系
     (Topocentric Tangent Plane Coordinate System)